リカンベントという自転車を知っていますか?
自転車の一種ですが、リカンベントは通常の自転車と違いサドルの代わりとなる背もたれ付きのシートにもたれるように座り、足を前方に向けた姿勢での屈伸運動を動力としています。
英語の「recumbent」とはもたれかかる意味があり、もたれかかりながら運転することでその名がつきました。
条件付きで最速の自転車
自転車に限ったことではありません。スピードを出すには動力やエネルギー量も大事ですが、空気抵抗も重要です。
自動車や新幹線、飛行機における流線形は、空気抵抗に対抗するために生まれました。
自転車にもエアロロードバイクという、エアロ=空力性能を向上させたモデルがあります。
しかし、空気抵抗はライダーの人体が75%、バイクは25%の比率となるため、自転車の形状だけでは限界があり、前傾姿勢に変えることで空気抵抗を減らすしかありません。
そこで、地面とできるだけ水平にして乗車することで、空気抵抗を減らすことを考えました。それがリカンベントなのです。
リカンベントは足を延ばし、背もたれを仰向けに寝そべる姿勢により空気抵抗が少なくなりました。アメリカで出た最高速度の記録は時速133キロ!
リカンベントの欠点
リカンベントはその乗車姿勢から、平らな地面は走りやすいのですが、登りは苦手です。
通常の自転車であれば立ち漕ぎで全体重をかけてペダルを踏みこむことができますが、リカンベントは非常に難しくなっています。
また、その乗車姿勢は通常の自転車と多くの違いがあります。
・遠方は見やすいが、足元が見えづらい
・道路の段差やギャップが吸収しづらい
・高速安定性はあるが低速だと難しい
・車から見えづらいので、旗などを立てる必要がある
とはいっても、これらのデメリットはある程度、改善可能なため、それほど欠点は気にならないでしょう。
ブレーキで前に投げ出されないのか
通常の自転車の場合、急ブレーキによってリアタイヤがロックされてしまい、投げ出されるということがあります。
リカンベントは最高速度が速いことや、その見た目からブレーキを踏むと前に投げ出されてしまわないか心配になりますよね。
しかし、通常の自転車より重心が低くなっているので、遠心力は小さく、身体が振られることはむしろ少ないでしょう。
需要が少ないため、自転車としては高額になりがちですが、愛用者の多いリカンベントはそれだけ魅力のある自転車といえます。