水の中をスイスイ泳ぐ魚たち。どのくらいのスピードで泳いでいるのでしょうか。
ちなみに人類だとセザール・シエロ(ブラジル)が2009年に達成した100mの世界記録46秒91が最速です。
世界最速の魚はバショウカジキ
世界最速の魚は時速90kmで泳ぐバショウカジキといわれています。
バショウカジキはスズキ目マカジキに属する体長3mを超える魚です。背ビレが芭蕉の葉に似ているため、バショウカジキという名前がついています。
カジキ類の中では小型で、最も速く泳ぐことができ、そのスピードは25mプールを1秒足らずで泳げる速さです。
日本でも九州、本州で獲れる夏から秋にかけての魚で、刺身として食べられています。
泳ぎ続けないと死んでしまうマグロ
マグロも速いスピードで泳ぐ魚として知られており、時速80kmといわれています。マグロは速いだけではなく長く泳ぎ続ける魚としても有名です。
エサを求めて毎日300km以上も海原を泳ぎ続けます。マグロは口を開けて泳ぎ、エラを通過する海水に溶け込む酸素を取り入れながら呼吸しているため、泳ぎ続けないと窒息してしまうのです。
そして、泳ぎ続けるために体はヒレの一部を体内に収納し、エラの表面を海水に接触させ、海に溶けた酸素を効率よく取り込めるよう進化してきました。
実際このスピードで泳いでいるの?
バショウカジキやマグロは、時速100km近いスピードで泳いでいるのでしょうか。とある海洋学者がバショウカジキの遊泳スピードを海で計測したところ、平均スピードはなんと時速2kmでした。
これはお年寄りが歩くスピードくらいの数字です。マグロはというと、時速7km程度。哺乳類で最速とされるシャチも時速5kmでした。
高速で泳いでいるとされるサメやペンギン、アザラシも平均的な遊泳スピードは時速8キロ以下だったのです。
もちろん、あくまで平均なので、エサを追いかけたり、捕食者から逃げたりする場合、瞬間的にそれ以上のスピードは出せるでしょう。
ただ、瞬間的に最高速度を測るのは難しく、データが揃っていません。これらのスピードは1960年代、魚を釣り上げた際、リールの糸が巻き上げられていく速度から推測されたものだそうです。
水は空気に比べて800倍も密度があるので、水中では空中の800倍もの抵抗がかかります。抵抗は速度の2乗に比例するので、少し速度を上げただけでも大きな抵抗を受けることに。
本当に時速100kmを達成しようとすると、とんでもないエネルギーが必要になるわけです。